宿泊施設の各種消耗品、備品を全般的に数多く扱う商社のショールームの改装計画である。たとえばシャンプーひとつ取り上げても、その種類は何十種とある。その大量の類似品をどう効果的に展示するかということと、商品が今後さらに増え続けても、それに耐え得る強さをもった空間をめざした。
そこで、回転しているダンサーやろくろで作った壺などをモチーフにし、まるで回転しているかのようなショーケース "回転体"と呼ぶ什器のある空間を提案した。
"回転体"とは、物体を回転させて現れる残像効果を利用した什器である。商品を"回転体" の円盤上に陳列することで、商品は"回転体"の一部のように環状に連続していく。毎日見ている日常的な商品群が残像のように増殖する。
"回転体"と商品は同化し、壁面においては反射効果により、商品と空間が溶け合う。一方、空間全体を見てみると、床、天井に映り込み上下に引き伸ばされた"回転体"の林立する非日常的な風景が、このショールームを強く印象付けることとなる。
主要用途: ショールーム
設備設計: マックスレイ(照明)
施工: ダイキ・アート製作所/イノウエインダストリィズ (回転体)
クレジット: 家具共同設計: 藤森泰司アトリエ
所在・会場: 東京 府中
延床面積: 167m2
設計期間: 2004.05-09
施工期間: 2004.09-10
写真: 中川敦玲/大森有起