創業65周年を迎える、リーガロイヤルホテル広島のエグゼクティブフロアの客室と3Fロビーの改修計画。ホテルは広島市内中心部に位置し、高層階客室からは広島城、瀬戸内海をはじめ、広島の街並みを一望できるランドマークになっている。
エグゼクティブフロアの客室改装では、各部屋にひとつ設けられた、眺めの良い大きな窓を、ピクチャーウィンドウとして額縁のように木枠で縁取った。木枠に一体化されたソファベンチには、ローテーブルとフロアランプを組み合わせることで、窓辺を居場所としてしつらえた。この窓辺に導かれるようにカーペットが窓に向かって伸び、ソファベンチの下で立ち上がって間接照明を柔らかく受け止める。
3Fのロビーは、漆芸や鯉に見られる、広島の文化を代表する朱色をベースとしたデザインのカーペットに張り替えた。ラインだけで構成された柄は、ホテル1Fロビーに創業当初からある彫刻家、多田美波氏によるデザインの照明にみられる菱形の造形をモチーフとし、ラインの粗密によって、空間に抑揚を与えている。
地域性や立地、建築の特徴などを最大限に引き出しながら、ホテルのアイデンティティを改めて見出し、訪れる宿泊客の体験をアップデートする感覚でデザインをした。
主要用途: ホテル
施工: 乃村工藝社、川島織物セルコン
クレジット: プロデューサー:左居穣/照明計画: BRANCH LIGHTING DESIGN
所在・会場: 広島,リーガロイヤルホテル広島
延床面積: 客室38部屋、3Fロビー1226m2
設計期間: 2019.09-2019.12
施工期間: 2019.12-2020.2
写真: 阿野太一