使用済みのトラックタープ(幌)、自転車のインナーチューブ、廃車のシートベルトを使った、色とりどりのメッセンジャーバッグやアクセサリーを展開するFREITAG(フライターグ)の銀座店に続く、渋谷店の内外装計画。明治通りとキャットストリート、二つの通りに面する特殊な立地を活かし、リペア工房を併設した同ブランドのクラフトマンシップを体現するようなストアが求められた。
そこで、「ストリート」と「ファクトリー」という二つのテーマを掛け合わせたストアを計画した。二つの通りをつなぐように、店内をもうひとつのストリートとして定義して、人の流れを新しくつくり出せないかと考えた。このことは同時に二つの通りに対してそれぞれ別のファサードを持つことになる。キャットストリート側にはリペア工房を配し、工場特有のすべり出し窓のディテールによって工房自体がショーウインドウのように機能する。明治通り側は対照的に、大判ガラスによって透明感のあるファサードとしている。
既存のコンクリート躯体の塗装面を剥離、けれんすることで生まれた粗野な表情は、経年劣化したストリートの壁面を思わせ、両者をつなぐ店内中央に引かれた道路の延長のような白線と、街路灯の照明によってもストリートの雰囲気を演出しながら、往来する人々を自然に誘導する。機械的に反復して並ぶV30のディスプレー、インダストリアルグリーンと木の無垢材天板による作業台を改造した可動式の什器、黄色のマーキングパターン、剥き出しの埋め込み型のダウンライト等が、クリエイティブなファクトリー感を演出している。
「ストリート」と「ファクトリー」というテーマを取り込むことで、FREITAGのストアに 新しい価値を与えることができればと考えた。
主要用途: 物販店舗
施工: イシマル
クレジット: サイン・グラフィック:FREITAG/照明計画協力:遠藤照明/ スーパーバイザー:spillmann echsle architekten ag
所在・会場: 東京 渋谷
延床面積: 122.81m2
設計期間: 2013.4-8
施工期間: 2013.8-9
写真: 阿野太一/Sebastian Mayer
ウェブサイト: http://www.freitag.ch