大きな気積の中に開ける「孔」が、庭になる。
庭が内部に光と風を取り入れる、アトリエ兼住宅。
敷地は間口9m、奥行き26mと奥行きが長い。そこで、斜線制限や、高さ制限内で最大気積を確保した「殻」を作り、風通しや光を取り込みたいところに「孔」を開けることにした。「孔」には、隣接する室に関係した植栽の庭を設ける。地下にはサンクンガーデン、1階にはどんぐりガーデン、2階にはダイニングガーデンと和庭。屋上には「殻」を「破る」ことで生まれたスカイガーデンを配置した。そして、それぞれの庭を外部階段で繋いでいく。
敷地奥南側にはシンボルツリーとして、7mのカシの木を植えている。ただし、道路側に建物が建ってしまうと植えられないため、基礎工事が始まる前に先行して植樹した。シンボルツリーは工事段階からこの家を見守っていると言える。
「殻」には外断熱工法を採用している。熱容量の大きなコンクリート壁は、室内の温度変化を滑らかにしてくれるだろう。また、内外壁共にコンクリート打ち放し仕上げとすることで、内外は連続したように感じられる。この一体感を保つために、カルバート構造を採用。奥行き方向を区切る間仕切壁の無いトンネル状の空間とした。これにより、「強さ」と「やさしさ」の両面を持ったコンクリートの空間が実現した。
場所: 東京
用途: 住居/アトリエ
建築設計: IKAWAYA 建築設計
構造設計: yAt構造設計事務所
設備設計: ZO設計室
施工: 栄港建設
庭園設計: SOLSO
敷地面積: 229.01㎡
延床面積: 332.16 ㎡
竣工: 2020年6月
撮影: 川辺明伸