札幌に計画した9世帯のアパートです。
北国の生活は、冬が厳しいため開口部が小さい居住スペースになりがちです。
開口部を大きく造っても熱環境を整え、居住者の生活を豊かにする計画ができないかと考えました。
そこで、四角い平面の中心に階段スペースを設け、そこを中心にそれぞれの住戸の環境を整える十字のバッファースペースを挟みました。
バッファーゾーンを通して、建物の中心の共用階段にまで光が溢れます。
バッファーゾーンは、土間空間になっていて日常的には自転車やスノーボードなどのアウトドア用品を置いたりして使うことを想定していますが、熱環境的には外部と住戸を繋ぐ干渉スペース(中間領域)になり、冬の厳しい気候から住人を守り、豊かな光を各住戸に届けます。
9世帯の住戸は、メゾネットタイプやロフトのある天井の高いタイプ等すべて違うプランです。
バッファースペースを挟んだ住戸どうしは、プライバシーを守られながらも、隣戸の気配を感じとれます。
とかく集合住宅ではありがちな、隣には誰が住んでいるのか分からないといったことのない様に、隣人と環境を共有して集まって住むことをもう一度問い直したいと思いました。
設計担当:納谷学、相田宗徳、島田明生子
構造設計:多田修二構造設計事務所 多田修二
施工会社:福島工務店 鈴木基也
構造形式:地下1階 鉄筋コンクリート造+1・2階木造
世帯数 :9世帯
敷地面積:209.328㎡(63.2坪)
延床面積:262.91㎡(69.3坪)
受賞歴 : JIA北海道支部住宅賞2009 アカシア賞受賞
掲載誌 :『新建築 2008.08号』
『建築技術2008.12』
夕方には建物の中央に繋がるバッファーゾーンの光が街に漏れます。
メゾネットタイプの住戸です。玄関は一階(LDK)で地下(寝室)に螺旋階段で降ります。
土間のバッファースペースを挟んで、隣の住戸の窓があって隣人の気配を感じられます。
メゾネットタイプの住戸です。玄関は一階(LDK)で地下(寝室)に螺旋階段で降ります。
地下の寝室です。バッファースペースは土間になっていて、上部からの光で溢れています。
2階共用階段ホールです。四方のバッファースペースからの光で、季節を問わずいつでも明るいスペースになっています。
2階のロフト付きの住戸タイプです。バッファースペースが建物を通り抜け、建物全体の環境を整えているのが分かります。
2階のロフト付き住戸タイプです。ロフトの下は、水周りスペースです。ロフトの分だけLDの天井が高くなっています。